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寒山拾得図 妹尾天然筆 

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本作品を描いたのは誰かも知れずに購入、箱もなく数千円也。資金不足の最近はこのようなガラクタ?が増えてきました。「妹尾天然」というのは誰??? 調べたのは購入後ですが、実に面白い作品です。

寒山拾得図 妹尾天然筆 
紙本水墨軸装 軸先鹿骨 合箱
全体サイズ:横770*縦2090 画サイズ:横640*縦1330



「画は天真を貴び個性を重んじる」という妹尾天然の言葉どおり、天心爛漫、実に個性的な墨絵です。




墨で勢いよく描かれた本作品には並々ならぬ技量がみてとれます。




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妹尾天然:画壇の外にあって、縦横に彩管をふるった備中の生んだ信念の日本画家。花鳥・山水・仏教画等、雄渾な筆致による作品を遺している。明治21年岡山に生まれ、日本画を学ぶなかで信仰に目覚め、高山樗牛の著書に出会い、日蓮聖人遺文を読む。さらに摩訶止観、一切経を読破、日蓮教学を学び、画道・仏道に励んだ。晩年は篤き法華信仰のもと身延山に住み、久遠寺大客殿の「日蓮聖人御影」など数々の大作を残す。昭和52年、90歳で没した。



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寒山拾得(かんざん じっとく):中国,唐代の隠者,中国江蘇省蘇州市楓橋鎮にある臨済宗の寺・寒山寺に伝わる寒山と拾得の伝承詩人である寒山と拾得のこと。9世紀ごろの人。確実な伝記は不明。二人とも奇行が多く、詩人としても有名だが、その実在すら疑われることもある。寒山の詩の語るところでは,寒山は農家の生れだったが本を読んでばかりいて,村人にも妻にも疎まれ,家をとび出して放浪の末に天台山に隠棲した。既成の仏教界からも詩壇からもはみ出した孤高な隠者として300余首の詩を残した。





拾得と豊干(ぶかん)とは,寒山伝説がふくらむ過程で付加された分身と認められる。拾得は天台山国清寺こくせいじの食事係をしていたが、近くの寒巌かんがんに隠れ住み乞食のような格好をした寒山と仲がよく、寺の残飯をとっておいては寒山に持たせてやったという。その詩は独自の悟境と幽邃(ゆうすい)な山景とを重ね合わせた格調高い一群のほかに,現世の愚劣さや堕落した僧侶道士を痛罵した一群の作品があり,ともに強固な自己疎外者としての矜持を語っている。
寒山は文殊菩薩の化身、拾得は普賢菩薩の化身と言われることもあり、非常に風変わりなお坊さんだったようで、後年様々な絵画に描かれる。たいていは奇怪な風貌で、なんとなく汚らしい服装で描かれている。そして、怪しげな笑い顔で描かれることが多い。また拾得が箒を持っている作品が多い。





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補足
唐の時代(七世紀頃)、寒山という人がいた。風狂の化け物と称される。カバの皮を着衣し、大きな木靴を履いていたと言われる。寒山は普段は寒厳の洞窟に住んでいたそうですが、たびたび国清寺に訪れていた。寺に来ては奇声を上げたり、奇異な行動をとって寺のもの困らせていた。しかし、追い払おうとすると彼の口から出る言葉はその一言一句が悉く道理にかなっているのだ。よく考えてみると、その心には道心が深く隠されている。その言葉には、玄妙なる奥義がはっきりと示されていた。



寺の給仕係りをしていた拾得とは仲良しで、いつも寺の僧たちの残版を竹の筒につめて寒山に持たせて帰らせた。



寒山と拾得を導いたのは豊干という国清寺の僧。豊干は、二人について「見ようと思えばわからなくなり、わからなくなったと思うと見えるようになる。ゆえに、ものを見ようと思えば、まずその姿かたちを見てはなるまい。心の目で見るのだよ。寒山は文殊菩薩で、国清寺に隠れている。拾得は普賢菩薩。二人の様子は乞食のようであり、また風狂のようでもある。寺へ出入りしているが、国清寺の庫裡の厨では、使い走りをし、竈たきをしている」と言ったという。「寒山拾得」というのはこの二人の伝説の事。寒山と拾得の二人は、のちのち墨絵の題材となり多くの画家が絵を残しています。日本の有名な画家たちも「寒山拾得図」を描いています。

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豊干(ぶかん):中国唐代の詩僧。天台山国清寺に住み,虎を連れた姿で知られ、寒山・拾得(じつとく)を養育した人と伝えられる。豊干を釈迦の化身に見立てるものもある。

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「豊干」を描いた作品は本ブログにも投稿されています。

羅漢と虎 今村紫紅筆
紙本水墨 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1250*横420 画サイズ:縦260*横350


羅漢図 倉田松涛筆 その14(真作整理番号)
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱入 
全体サイズ:横370*縦2050 画サイズ:横330*縦1260

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