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2024年12月に改装されてきた作品 表具は日本に遺された貴重な文化であり、アートなのです。

当方では作品の整理しながら、今後も遺していく作品において状態の悪い作品は改装などのメンテを並行して施しています。これは蒐集する者の責務のように感じています。メンテナンスには費用が嵩みますが、改装することによって将来に長らく保存で着る状態が保てるようになります。
まずは下記の作品ですが、シミが多かったので染み抜きして締め直しの改装をしております。
閑日 竹内栖鳳筆紙本水墨軸装軸先象牙 鑑定箱入全体サイズ:縦1260*横560 画サイズ:縦310*横4002024年12月改装・二重箱誂完了
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染み抜きと締め直しは腕の良い表具師に依頼することが肝要なようです。
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見違えるほどきれいになりました。明治30年代頃の竹内栖鳳が画家として著名になる少し前の作と推定されます。竹内栖鳳が描いた動物画の中でも猿は得意とする画題のようです。
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掛け軸の取り扱いは慎重な対応が必要で、普段の取り扱い方、保管場所の管理に注意が必要です。掛軸の取り扱いのしぐさを見ただけで、その方の所蔵されている作品の状態が察しられます。
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もともとが共箱に太巻仕様でしたので、さらに二重箱を誂えました。二重箱の塗りは費用の都合で未了ですが、資金に余裕のある時に塗を施したいと思います。塗りだけなら5000円程度で可能だそうです。
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次は下記の作品です。
仲秋名月 横山大観筆 明治40年頃紙本水墨着色軸装 軸先象牙 共箱全体サイズ:縦2135*横415 画サイズ:縦1306*横285改装完了後 全体サイズ:縦2135*横415 画サイズ:縦1306*横2852024年12月改装・二重箱誂完了
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あまり良くない状態での入手でしたが、こちらも染み抜き・締め直しの改装できれいになりました。
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月夜のもとで水辺の空気感が素晴らしい作品です。
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水鳥がユーモラスで面白い?
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真贋は不明ですが、改装にあたっては巻き止めに記されている鑑定印などはそのままの遺します。
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こちらの作品も元の誂え、今回の誂えも竹内栖鳳と同じです。ただもともとは太巻の保管とはなっていません。
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次の作品は福田豊四郎の作品ですが、戦前の福田豊四郎の作品は、大概が保管状態がよくありません。そのために数多くの作品の改装していますが、今回の作品は祖父が営んでいた材木業と関連する作品なのできっちりときれいにしました。
瀞峡 福田豊四郎筆絹本着色軸装 共箱全体サイズ:縦2180*横490 画サイズ:縦1290*横355改装後 全体サイズ:縦2180*横490 画サイズ:縦1290*横3552024年12月改装完了:染み抜き共 費用¥40,000
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おそらく描かれた川は郷里の米代川・・?? もっと上流の川かな???
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当方は著名な画家というよりは郷土の関連した画家の作品を蒐集していますので、どうしても福田豊四郎、平福父子、寺崎廣業、蓑虫山人らの日本画が中心となります。
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蓑虫山人を除いた記載の3人の画家の蒐集作品数は150を超えてきています。
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このような画家については、蒐集する人々の話題にはあまりなりませんね。最近、多いのは片岡球子や絹谷幸二といった著名画家ばかり・・。しかも評価金額ばかりを話題にする方が多くて閉口しています。
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次はもっとマイナーな画家の作品です。
虎之図 片山楊谷筆絹本水墨着色軸装 軸先樹脂 誂箱全体サイズ:縦1940*横478 画サイズ:縦1145*横342改装完了:費用¥28,000
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片山楊谷くらいの時代になるとまともな状態の作品は稀有ですね。
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締め直しできる状態でもなく、全面的に改装するはめになります。
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次は中村左洲の作品。
游鯛図 その4 中村左洲筆 昭和15年 絹本水墨着色印譜表具軸装 軸先骨 共箱 全体サイズ:縦2000*横490 画サイズ:縦1100*横365改装完了後 全体サイズ:縦1970*横488 画サイズ:縦1097*横3632024年12月改装完了
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実際に泳ぐ鯛を描くことに関しては、この画家に右に出る画家はいないでしょう。
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因幡一派の鯉と同じですね。
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小泉檀山の鮎、大橋翠石の虎もそうですね。
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表具材に印譜をあしらっているので、そのままとして締め直しを選択しています。
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どのように改装するか、作品をどのように遺すかというのはコレクターに課された重大な責務です。
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改装したことによって、もともと収めてあった保管箱が窮屈になっていいけません。無理して収納すると作品が皺だらけになります。
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次は前述の小泉檀山の鮎を描いた作品です。
鶺鴒と群鮎之図 小泉檀山筆 その6絹本着色軸装 軸先陶製 合箱全体サイズ:縦1900*横500 画サイズ:縦1000*横365改装完了後 全体サイズ:縦1832*横500 画サイズ:縦985*横3652024年12月改装完了:染み抜き共 費用¥40,000
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小泉檀山の作品にはかなりの贋作がありますが、この作品はかなり出来の良い作品です。
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染み抜きによって色が鮮やかに復活しています。
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掛け軸が黴臭いなどと評価する方は、保存状態のよい作品を観たことがないのでしょう。
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きれいに仕上がった掛軸は額の作品よりもはるかに素晴らしいものです。
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表具は日本に遺された貴重な文化であり、アートなのです。
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絹に描かれたもの、紙に描かれたもの、絖に描かれたもの紙表具、絹表具象牙や塗、陶磁器の軸先染色の表具材指物師による収納箱あげたら際限のない日本文化が詰まっています。
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なぜこの掛け軸文化が日本から消えていくのだろう・・。
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住宅事情とはいうものの日本人の文化レベルの低下がそうしているのであろう。
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次の作品は資料としてとっておくために改装した作品です。
唐美人図 寺崎廣業筆 明治25年頃絹本水墨着色軸装 軸先木製 合箱全体サイズ:縦2090*横810 画サイズ:縦1530*横640改装完了後 全体サイズ:縦2112*横812 画サイズ:縦1530*横6482024年12月改装完了
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寺崎廣業の作品です。
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掛け軸の作品は一度、状態が悪くなると保管も難しくなります。
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上等な表具でなくてもいいので、表具を改装する必要はあります。
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そのような表具でも、どのような保管方法でも100年に一度は改装する必要があるとか・・。
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次の作品は珍しい杉本健吉の肉筆画です。
大和風景 杉本健吉筆 昭和25年頃紙本水墨淡彩軸装 軸先骨 共箱全体サイズ:縦1210*横560 画サイズ:縦325*横420改装完了後 全体サイズ:縦1167*横559 画サイズ:縦324*横4202024年12月改装完了:染み抜き 既存軸先使用 費用¥30,000
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シミだらけであったので染み抜きして改装しています。
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日本は湿気が高いので、空調の制御ができなかった頃にはどうしても湿気が大敵であったのでしょう。
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さらに作品は全面的に改装するだけではなく、天地交換や箱の誂え、紐の交換などいたるところを見直してメンテすることが必要です。天地や紐の劣化で掛け軸が致命傷である損失を被ることもあります。
以下は改装まではしないでも、資料の見直しをした作品です。
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この作品は作品中に年季のある貴重な作品で、なおかつ非常に出来の良い寺崎廣業の作品。
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資料と再照合することも必要です。印刷と思っていても後日肉筆と判明することやその逆も大いにあり得ることですが、この作品も見直しのよって解った昨作品です。
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表面がつるつるしているので工芸品と断定していた作品ですが、どうも肉筆のようです。中央部に描いている時の段差が分かります。
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このような折れは印刷にはありえません。
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ただし真作と判断するのは早計ですね。
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この作品は印章がいまひとつ納得できない点があります。真贋に大いに悩ませてくれる作品です。
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調べるといろんなことがあらたに解ってくるものです。贋作にはこのような軸先はあまり用いないもの・・・??
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かなり前に蒐集した作品は見直しましょう。
伊勢海老 福田豊四郎筆 その56
紙本着色軸装 軸先象牙 太巻合箱入
全体サイズ:横460*縦1260 画サイズ:横*縦
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福田豊四郎が描いた伊勢海老の作品は、当方ではスケッチ、色紙、若い頃の作と幾つかありますが、これらを見比べてみるのも一興です。
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日本画では、掛け軸の作品のほうが額の作品よりも数倍の楽しみがありますが、現在の住宅事情では飾るところがないのでしょう。人気はドンドン下降していますね。



































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