今年の北国は雪がとくに多いようです。
このような雪国で暮らす人々はとても忍耐強く、春の訪れを辛抱強く待ちます。
雪国でのものづくりは辛抱強く・・、心棒強く・・・。難しい仕事を、やりがいのある仕事をさせてもらったが、それに比べると都会の超高層はいとも簡単?・・・なのになぜにてこずる。
辛抱強く人を育て、チームワークを作り、組織力を発揮させるということをしてこなかったからに相違ない
さて本日は鈴木其一の作です。鈴木其一の作品はなんどか購入しましたが、同じくらい売却しています。いまいち気に入らない作品が多いのです。晩年には工房作とおぼしき其一らしからぬ凡庸な作品が少なからず残り、師・抱一と同様、其一も弟子に代作させたと見られます。そのことに気がついている人は意外に少ないのではないでしょうか、妄信的な琳派ファンはとくにその傾向が強いように思います。
本日の作品はめでたい作品ですが。「福娘之図」、「お多福図」。「乙御前図」・・どの題が正しのかは解りませんね。
福娘之図 鈴木其一筆 その2
絹本着色絹装 軸先象牙 合箱入
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横305*縦905
鈴木其一は酒井抱一とは主従の関係であったことは良く知られています。酒井抱一の仲介で婿になったが、家禄は増えても5歳年上・・、其一は抱一を本当はどう思っていたかは定かではありません。
弘化元年(1844年)頃からは、「菁々其一」と号を改めた菁々落款に変わります。「菁々」も『詩経』小雅にあり、「盛んなさま」「茂盛なさま」を指し、転じて人材を育成することを意味するそうです。明らかに光琳の号「青々」も踏まえており、この改号には、師抱一を飛び越えて光琳を射程としつつ、次なる段階に進み、自ら後進を育てようと目論む其一の意欲が窺えるものです。
その作風は再び琳派の伝統に回帰する一方で、其一の個性的造形性が更に純化する傾向が混在したまま完成度を高め、ある種の幻想的な画趣を帯びるようになっています。ただし、晩年には工房作とおぼしき其一らしからぬ凡庸な作品が少なからず残り、師・抱一と同様、其一も弟子に代作させたと思われます。
それでも高い描写力に裏打ちされた明快な色彩と構図、驚きや面白みを潜ませる機知的な趣向は、敢えて余情を配するかのような理知的な画風を特徴付けている作品が多々あります。琳派の掉尾を飾るとも評されますが、美人画や風俗画などの単に琳派や抱一様式に収まらない、個性的な要素を多く含んでいます。
描き方も、本来は仏画に用いる技法である表具にも絵を施す「絵描装(描表装)」をしばしば用い、本紙の絵に多様なデザインを取り合わせ、時に本紙の中に侵入するだまし絵のような効果を与えています。こうした肉筆画の一方、其一は狂歌本挿絵や狂歌摺物、団扇絵版錦絵や千代紙といった版下絵の仕事も積極的にこなしています。
雅趣豊かな抱一の作風とは対照的に、硬質で野卑とも言うべき感覚を盛り込んだ其一の作品は、長く国内の評価が低迷し、作品の流失と研究の立ち遅れを余儀なくされてきました。しかし、近年の所謂「奇想の絵師」達の評価見直しが進むに連れて、琳派史上に異彩を放つ絵師として注目を集めつつあるようです。
平成20年(2008年)東京国立博物館で開かれた『大琳派展』では、宗達・光琳・抱一に並んで其一も大きく取り上げられ、琳派第4の大家として認知されつつある画家です。
幕末明初の絵師・河鍋暁斎は其一の次女を最初の妻にしています。これは其一の長女が、暁斎の父と同じ御茶の水定火消の与力海津某に嫁いでおり、その縁によるものだったと言われていますが、共に本来の画域以外にも関心を示す姿勢を持っていたことは共通しています。
以前に本ブログに投稿した下記の作品は私の好きな作品のひとつです。「高い描写力に裏打ちされた明快な色彩と構図、驚きや面白みを潜ませる機知的な趣向は、敢えて余情を配するかのような理知的な画風を特徴付けている。琳派の掉尾を飾るとも評されるが、美人画や風俗画などの単に琳派や抱一様式に収まらない、個性的な要素を多く含んでいる。」という評がぴったりします。
琵琶に菊 鈴木其一筆絹本着色絹装軸箱入
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横305*縦905
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鈴木其一:寛政8年生まれ、安政5年没(1796年~1858年)、享年63歳。名は元長、字は子淵。酒井抱一の弟子となったが、同門の鈴木蠣潭が文化14年(1817年)に26歳で早世したので、その姉と結婚させて鈴木家を継がせ、酒井家の家臣に列して抱一の付け人とした。
其の画は抱一の画風の影響をよく受け、抱一以上に装飾的で象徴的な画体に達し、俳諧や諸芸にも通じた。あまりにも抱一の影響を受け、画体が良く似ていたので、其一が絵を描き、抱一が落款を書いたと言う諸説がある。
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本作品の真贋? そんな野暮な質問はやめましょう
本日は師弟とは・・をちょっと考えてみたかったのです。師弟関係は複雑な心中・・・・
このような雪国で暮らす人々はとても忍耐強く、春の訪れを辛抱強く待ちます。
雪国でのものづくりは辛抱強く・・、心棒強く・・・。難しい仕事を、やりがいのある仕事をさせてもらったが、それに比べると都会の超高層はいとも簡単?・・・なのになぜにてこずる。
辛抱強く人を育て、チームワークを作り、組織力を発揮させるということをしてこなかったからに相違ない
さて本日は鈴木其一の作です。鈴木其一の作品はなんどか購入しましたが、同じくらい売却しています。いまいち気に入らない作品が多いのです。晩年には工房作とおぼしき其一らしからぬ凡庸な作品が少なからず残り、師・抱一と同様、其一も弟子に代作させたと見られます。そのことに気がついている人は意外に少ないのではないでしょうか、妄信的な琳派ファンはとくにその傾向が強いように思います。
本日の作品はめでたい作品ですが。「福娘之図」、「お多福図」。「乙御前図」・・どの題が正しのかは解りませんね。
福娘之図 鈴木其一筆 その2
絹本着色絹装 軸先象牙 合箱入
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横305*縦905
鈴木其一は酒井抱一とは主従の関係であったことは良く知られています。酒井抱一の仲介で婿になったが、家禄は増えても5歳年上・・、其一は抱一を本当はどう思っていたかは定かではありません。
弘化元年(1844年)頃からは、「菁々其一」と号を改めた菁々落款に変わります。「菁々」も『詩経』小雅にあり、「盛んなさま」「茂盛なさま」を指し、転じて人材を育成することを意味するそうです。明らかに光琳の号「青々」も踏まえており、この改号には、師抱一を飛び越えて光琳を射程としつつ、次なる段階に進み、自ら後進を育てようと目論む其一の意欲が窺えるものです。
その作風は再び琳派の伝統に回帰する一方で、其一の個性的造形性が更に純化する傾向が混在したまま完成度を高め、ある種の幻想的な画趣を帯びるようになっています。ただし、晩年には工房作とおぼしき其一らしからぬ凡庸な作品が少なからず残り、師・抱一と同様、其一も弟子に代作させたと思われます。
それでも高い描写力に裏打ちされた明快な色彩と構図、驚きや面白みを潜ませる機知的な趣向は、敢えて余情を配するかのような理知的な画風を特徴付けている作品が多々あります。琳派の掉尾を飾るとも評されますが、美人画や風俗画などの単に琳派や抱一様式に収まらない、個性的な要素を多く含んでいます。
描き方も、本来は仏画に用いる技法である表具にも絵を施す「絵描装(描表装)」をしばしば用い、本紙の絵に多様なデザインを取り合わせ、時に本紙の中に侵入するだまし絵のような効果を与えています。こうした肉筆画の一方、其一は狂歌本挿絵や狂歌摺物、団扇絵版錦絵や千代紙といった版下絵の仕事も積極的にこなしています。
雅趣豊かな抱一の作風とは対照的に、硬質で野卑とも言うべき感覚を盛り込んだ其一の作品は、長く国内の評価が低迷し、作品の流失と研究の立ち遅れを余儀なくされてきました。しかし、近年の所謂「奇想の絵師」達の評価見直しが進むに連れて、琳派史上に異彩を放つ絵師として注目を集めつつあるようです。
平成20年(2008年)東京国立博物館で開かれた『大琳派展』では、宗達・光琳・抱一に並んで其一も大きく取り上げられ、琳派第4の大家として認知されつつある画家です。
幕末明初の絵師・河鍋暁斎は其一の次女を最初の妻にしています。これは其一の長女が、暁斎の父と同じ御茶の水定火消の与力海津某に嫁いでおり、その縁によるものだったと言われていますが、共に本来の画域以外にも関心を示す姿勢を持っていたことは共通しています。
以前に本ブログに投稿した下記の作品は私の好きな作品のひとつです。「高い描写力に裏打ちされた明快な色彩と構図、驚きや面白みを潜ませる機知的な趣向は、敢えて余情を配するかのような理知的な画風を特徴付けている。琳派の掉尾を飾るとも評されるが、美人画や風俗画などの単に琳派や抱一様式に収まらない、個性的な要素を多く含んでいる。」という評がぴったりします。
琵琶に菊 鈴木其一筆絹本着色絹装軸箱入
全体サイズ:横*縦 画サイズ:横305*縦905
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鈴木其一:寛政8年生まれ、安政5年没(1796年~1858年)、享年63歳。名は元長、字は子淵。酒井抱一の弟子となったが、同門の鈴木蠣潭が文化14年(1817年)に26歳で早世したので、その姉と結婚させて鈴木家を継がせ、酒井家の家臣に列して抱一の付け人とした。
其の画は抱一の画風の影響をよく受け、抱一以上に装飾的で象徴的な画体に達し、俳諧や諸芸にも通じた。あまりにも抱一の影響を受け、画体が良く似ていたので、其一が絵を描き、抱一が落款を書いたと言う諸説がある。
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本作品の真贋? そんな野暮な質問はやめましょう
本日は師弟とは・・をちょっと考えてみたかったのです。師弟関係は複雑な心中・・・・