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Channel: 夜噺骨董談義
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南京赤絵 牡丹紋茶入

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いったい幾つほど明末から清朝時代?の赤絵を当方で集めたか解らなくなりましたが、民窯の自由奔放な絵付けには大いなる魅力を感じます。中国自体には現在はまったく残存していない作品群らしく、むろん現代の中国においては蒐集対象とはなっていないようです。日本ではこの赤絵の作品のコピー作品や写しが京都などで数多く作られたようです。

南京赤絵 牡丹紋小壷
木蓋付 合箱
口径28*胴径85*高台径*高さ95



胴に描かれた鮮やかな牡丹図、中国原産の「牡丹」は中国で「花王」を意味する富貴の象徴です。獅子と牡丹は組み合わせて描かれることが多いようです。



唐獅子に牡丹・・その謂れは以前に投稿したとおりです。



合箱がついており箱には「南京赤絵 小壷」と記されています。



茶入? 蓋が付いており、象牙ではなく木(桑?)の蓋です。このような作品は時折見受けます。口周りに釉薬が掛けられていないことから煎茶道具の茶入の用途などとして注文して作られた作品と推察されます。さて煎茶のたしなみがないので何に使いましょうか?



中国では金代(南宋代)の磁州窯で牡丹が赤絵ではじめて描かれていますが、本作品は清朝まで時代が下がった五彩の南京赤絵と推察されます。



南京赤絵は明末清初に景徳鎮で焼かれた輸出用の赤絵磁器で呉須赤絵よりは透明感のある釉を使っており、赤絵南京ともいっています。350年くらい前の中国明時代末期から清王朝初期に掛けて景徳鎮の民窯で作られたものです。

中国では17世紀に入ると各地で農民の反乱が相次ぎ明王朝は衰退しその結果景徳鎮の官窯は消滅しましたが、民窯はしたたかに生き残りむしろ自由闊達な赤絵を作りはじめました。これらを南京赤絵と称するものです。



南京赤絵の生地の多くは従来の青味が強い白ではなく乳白色を帯びていて、これは色彩を一層際立たせる効果があります。絵付けには基本的に染付けは用いず、色釉だけで彩色され、その色数も初期は赤、緑、黄と少なく作風はきわめて豪放です。



その後、紺青、紫、黒、褐色などの色が増えるとこれらの色数を組み合わせ繊細華麗な作風へ変化しました。色絵だけで彩色されるのが南京赤絵の特徴です。



当時の主要な輸出品で西欧諸国に売ったものは壷や花生けや蓋ものなど大作が多いものですが、ところが日本に輸出したものは茶道具あるいは鉢や小皿中皿など食器が多く小さめの作品が多いとのことです。

高台内には年号の銘記がなく砂付もありませんが、皿などとは違って砂付高台にならないものも多いようです。



デザインも日本人好みの余白を十分とった絵画的な構成になっています。これは南京赤絵の輸出用としての手法です。虫喰いや砂が少ないものにになると清朝に時代が下がってきます。時代が明末や清朝初期ほど評価が高く絵付けが奔放です。

これらの赤絵は時代が下がると絵付に面白味がなくなります。



皿などの評価は寸法、大きさによって大いに違い、辺20センチ程度のものはかなり高価ですが、辺12センチ程度の小さな作品は数多く残存しており、評価は低くなります。

本作品のような小品は数多く日本に残されており、まだまだたくさん市場に出回っている作品ですので蒐集する側にとっては廉価で入手機会が多い作品群のひとつです。

豪華な腕時計などを買う価値観で綺麗な官窯の作品を蒐集する中国人が見向きもしない作品を日本人が好むというのもいいですね。

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