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Channel: 夜噺骨董談義
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忘れ去られた画家 雪中護菊図 渡辺省亭筆 その5

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ある画家のひとつの作品を入手すると、次から次にその画家の作品と縁があって、入手できることがあります。知識が増えるということもあるのでしょうが、骨董蒐集しているとよくあることです。今回は海外での評価が高い渡辺省亭の作品で、五作品目となります。

雪中護菊図 渡辺省亭筆 その5
絹本水墨着色軸装 軸先 合箱
全体サイズ:縦2040*横650 画サイズ:縦1120*横490



師である菊池容斎とは対照的に弟子を取らず(水野年方が1,2年入門しただけという)、親友と呼べる画家は当ブログではなじみの平福穂庵(平福百穂の父)、そして菅原白龍くらいで、一匹狼の立場を貫いたようです。



これは容斎からの「他人の悪口ばかり言いあう画家と交際するよりも一芸に秀でた者と交われ。」の教えを守ったためとする説もありますが、単に省亭の性向によるものにも思えます。



世界に誇るべき画家ですが、

1.代表作品が海外にあること
2.展示される大きな作品が少ないこと、あっても海外か移動の難しい作品であること
3.他の画家との付き合いが少ないこと
4.弟子をとらないこと
5.床の間芸術に徹したこと

などの理由からと推察していますが、日本国内では非常に低い評価です。ただし日本で作品が切手趣味週間の図案に採用されています



本作品からも解るように非常に実力ある画家です。海外で評価が高いの頷けますね。



日本での評価もこれからもっと高まるでしょう。



作品のほとんどが共箱(弟子が少なかったから?)に納まっているとのこですが、本作品は残念ながら合箱です。巧いがゆえに贋作が少ない画家ですが、作品数は多く出来不出来もありますので、闇雲に蒐集するのでなく出来のよいものに絞って蒐集したほうがよいでしょう。


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