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Channel: 夜噺骨董談義
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源内焼 その66 三彩獅子香炉 

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本年度の方針として社内で打ち出した施策は五本の事業・・。この真の理由を理解している社員は何人いるでしょう? 専門事業に徹するということはその分野のプロ中のプロになるということです。生半可な勉強や経験ではなりえないことのです。プロというのは「決して諦めない」、「他とは違うひらめきがある」、「自分のやり方に信念がある」、「組織全体を使い、最終的には社会貢献という使命感がある」ということです。そしてその実績から皆から信頼される。そういう仕事ができる人材を育て上げるというのが、真の理由です。

さて本日の作品はまたまた源内焼です。源内焼の陶工はプロ中のプロと小生は考えています。浮世絵の彫師との技術の融合、シャープは型出し、味のある釉薬、そしてなにより中国から輸入されていた陶磁器に対峙して日本の陶磁器の技術の高さを確立したという点では使命感もあったようです。

源内焼は作品の幅も広く、型で作られた皿や鉢が多い中で、細工物のような作品にも優れた作品があります。型では作られていますが、軽妙なる作風は日本人ならではのユーモラスさがあります。

以下の作品が本ブログに掲載されています。まだご覧になっていない方は是非アクセスしてご覧ください。今までの源内焼のイメージと違うと思われる方が多いと思います。

緑釉竹二蛙細工香筒
合箱入
長さ242*高さ23

緑釉球獅子水滴 
合箱入
幅98*奥行き99*高さ72

これらの作品は非常に珍しく、実に遊び心のある作品だと思いませんか? 私は源内焼の代表作と称せられる地図皿などよりも、これらの作品が源内焼の陶工の真骨頂のように思えます。

本日の作品は楽焼などにも良く見かける獅子の香炉で、上記の二作品には及ばないものの遊び心のある作品です。

源内焼 その66 三彩獅子香炉 
合箱
最大幅*最大奥行*高さ112



このような細工物の獅子香炉は再興された明治期の源内焼にもあるようですが江戸期のものとの区別は釉薬と洒脱さでしょうね。本作品を売っておられた方は源内焼と断定できていなかったようです。

当方の丸秘事項ですが、源内焼を見極めるもっとも簡単な判定は作品に鼻を近づけて嗅ぐ「匂い」です。これは一種独特ですが、蒐集した人にしか解らないものです。吸水率が大きいので、汚れとともに独特の匂いがつくようです。家内も理解しているようです。



源内焼にはよく「鳩渓」の銘のあるものが江戸期として紹介されていますが、これは明治期の復興窯の作品でほとんどが出来の悪いものです。



また平賀源内は作陶はしていませんので、平賀源内作と紹介されているのは大きな間違いです。
 

復興された窯の作品には趣がなく、とるに足らない作品ばかりですので源内焼とは一線を画すべきでしょう。



復興された窯の作品をすべて源内焼としていることが源内焼の人気を落としていることにもなっています。



明治期の作品で見るべき作品は「三春駒」の作品くらいでしょうね。

源内焼 その20 三春駒香炉高さ184*尾含まない全長165*幅94

復興窯の作品は江戸期の源内焼の模倣品の域を出ないということもあり、原作より出来はかなり悪くなります。



型の精度も悪いので区別はつきやすいものとなっています。



源内焼の江戸期の作品は浮世絵の版木の彫師の腕の良さが如実に解る稀有な作品群となっており、さらにそこに製作者の遊び心があることから優品が生まれています。

源内焼の陶工は名工であったと私は推察しています。けっして平賀源内のような作陶に未熟な者が作った作品ではありません。「鳩渓(再興された作品に見かける刻銘)=平賀源内、さらにはそれらを江戸期の源内焼という乱暴な説明をしている御仁もいますが、文献を読むという習慣のない蒐集家のように思われます。文献を読むという行為のない、耳年増的な蒐集家は幼稚園以下の知識しか持ち合わせいないようです



本作品もまた汚れを洗って落としてあげたらなにやら獅子が嬉しそうでした。

鍋島焼、古九谷など日本を代表する陶磁器にはなんらかの使命感のようなものがあるようですが、源内焼は「国際競争力をつける」という使命感がありました。仕事には、プロにはなにかモチベーションを保つための使命感が必要のように思います。単なる利潤の追求ではないもの、「ものづくり」ではその使命を達した楽しさを味わうことも必要です。

源内焼の作品をみると「どうだい、面白いだろう」という製作者の言葉が聞こえてきそうです。そう、ものを作ったときに「どうだい、面白いだろう。」と言えるのがプロで、その言下には「真似できないだろう」という意味が含まれているものです。骨董という趣味もまたはそういうものを味わうのが愉しくてしかたのないものでなくてはなりません。

ところでインドネシアの高速鉄道が中国案に決定したようようですが、日本として不満もあろうかと思いますがこれが現実でしょう。経路や駅も日本の案のコピーですが、推測ですがこれらの情報は中国系の人口の多い国では漏れて当たり前でしょう。民主化が進み始めているインドネシアでは用地買収が進みにくく2018年完成は難しく、情報漏洩の少ない鉄道技術の高い日本の比ではない安全性の高くないものが出来上がりそうです。「安物買いの銭失い」ということになるでしょうがこれが海外の現実です。日本人のようなレベルの高いものづくりの対象ではなかったように思います。








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