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落葉満庭図 石井金稜筆 その2

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仙台にいる同僚から絵本をお祝いに戴きました。50才の独身男性からの意外な、いや素敵な贈り物に感激しました




さて本ブログに掲載される日本画家たちはかなりの多くがその師弟関係でつながっています。本日、2回目の投稿となる石井金稜は岡山県の代表的な画家ですが、意外な師弟関係です。

本ブログにも投稿された浦上春琴に最初師事し、その後に古市金蛾、そして岡本秋暉に師事しています。

落葉満庭図 石井金稜筆
絹本水墨着色 軸先 共箱
全体サイズ:縦1820*横390 画サイズ:縦1340*横280



賛には「落葉満庭□ 壬戌□秋八十一金稜」とあり、大正11年(1922年)の作であることが推察されます。石井金稜が81歳の時です。



箱書には「大正十一年壬戌十二月十五日於像除幕式之日□□□自題画畫 金稜□俊 押印」とあります。岡山県上道郡にある金稜山西大寺町観音院の境内に石井金陵像の座像と記載があり、1922年 に井上直伍(仰山)作?のようです。詳細は不明です。

大阪南画を代表する長老と称されるほど名声は高まり、大阪府で活躍された素晴らしい南画家とされて居ます。晩年は兵庫県神戸市須磨の屋敷に住み昭和3年11月19日に死亡、享年85歳でした。




石井金陵の作品は岡山県では素晴らしい作品として評価を得ており、中々入手しづらい作家の作品となっているそうです。他の所蔵品「李白観瀑図」は壮年期の迫力ある作品であり、本作品は晩年の秀作といえます。



晩秋の落ち葉舞う山間に隠遁生活をしている者を訪ねてきた友人に煎茶を振舞っているときを描いた作品でしょう。

いつかはこのように田舎にて隠遁生活をする望みを持つ人は多いのですが、その望みはなかなか叶えられずに人生の終焉を迎えてしまうものです。人はいつかはひとり・・、心を自由に自然の中で飛ばせたそんな生活をしてみたい・・、そんな願いを込めた作品が南画です。願いや祈りがあるのが絵の世界・・、それは絵本も同じようです。


左下に「無事水袖仙」の白文朱方印の遊印が押印されています。




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石井金陵:1842−1926 明治-大正時代の日本画家。天保(てんぽう)13年9月生まれ。初め浦上春琴のち、古市金峨、岡本秋暉に師事。各地を遊歴して故郷岡山に帰り,門人に教えた。明治36年大阪にうつり,画房桃谷山荘をかまえ,大阪文人画壇の長老といわれた。大正15年11月19日死去。85歳。名は俊。字(あざな)は君明。

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