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江山暮雪図 伝桑山玉洲筆 その2

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東京で久方ぶりの降雪・・、雪国育ちの私には雪が降ったというほどのこともないものです。わが郷里の雪はこちらのリンク先でご覧ください。

ここのところ単身赴任生活のようなものなので、週末は食糧難のため雪の中を仕方なく買出しに出かけました。東京の方々は雪の日は傘をさすようですが、あれは危ないです。フード付の防寒服で歩いたほうがいいですね。傘をさしていたらより転倒しやすいし、傘をさして転倒したら危ないですね。秋田では降雪時には滅多に傘はさしません。

雪ということで、本日は真贋不明のため投稿する予定ではなかった雪の山水画を投稿します。

以前に投稿した内容に記載のように、「釧雲泉」とともに入手の難しい桑山玉洲の作品です。

真贋は調査中ですので、本作品は「伝」としておきます。

江山暮雪図 伝桑山玉洲筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先陶器 合箱
全体サイズ:縦1970*横670 画サイズ:縦1310*横465



落款には「?嗣燐」と記されており、落款などから50歳代の作品ではないかと推察されます。印章は「?嗣燐」と「明夫」の白文朱方印の累印が押印されています。また、右下には「游戯絵事」の遊印が押印されています。これらの印章は検証の必要があり、和歌山県立美術館発刊の「桑山玉洲」に記載の資料では桑山玉洲の作品とは断定できず、それゆえ「伝」としておきます。




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和歌山県立美術館の発刊「桑山玉洲」からの抜粋
「桑山玉洲の佳作は50歳代に集中し、筆致は柔軟であり、線は屈曲しあるいは重複して大胆なデフォルメをみせる。点墨でアクセントを効かせ、濃淡のコントラストや暈淡による面の効果も巧みに駆使する手法が作画の基本となっている。



青緑山水画が多く描かれているが、青緑を基調に点景人物の着衣等に朱や青、黄などを点じ、樹葉に薄い紫や臙脂(赤色染料)などをアクセントとして用いる独特の彩色法を行う。こういった彼の色彩感覚は、初期の南蘋風の草花図に見られた彩色法が消化されて、南画様式の中に現れているように思われる。

晩年の画境は、もはや自在の境地に達したという風で、作調は明快で温雅である。峨々たる山水を描いてもそこにみられるのは、自然の厳しさよりも人間と自然の親和関係である。玉洲の画から受ける印象は、古色よりも近代的とさえいえる一種の感覚的な新しさである場合が多い。




玉洲の作品は、時としてあくの強さを感じさせたり様式化に傾く場合もあるが過不足のない表現によって成功している代表的な例は「明光浦十覧冊」、「雪渓訪隠図」、「雪山唫客図」等の作品であろう。これらの作品は、画品の高さにおいても、玉洲芸術の頂点を示すものといえよう。」


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本作品は「雪渓訪隠図」、「雪山唫客図」らと同じ冬の図であり、50歳代の晩年の作行きです。


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桑山 玉洲:延享3年(1746年)〜寛政11年4月13日(1799年5月17日))。江戸中期の南画家。名は嗣幹,のち嗣燦(嗣粲)。通称茂平次,のち左内。名は政近をはじめに嗣幹、嗣粲、嗣燦と改め、字を白瑞、子戔、明夫、通称は茂兵次。号は玉洲の他に明光居士、珂雪漁人、玉津嶋漁人、蘆泮、また堂号は鶴跡園、珂雪堂、聴雨堂、勧耕舎など。

紀州和歌浦(和歌山市)の人。家業の廻船業を継ぐ。明和年間(1764〜72),開墾事業に従事して地主となる。幼年より古書画を好み,同郷の野呂介石と交友。明和〜安永のころ,江戸に遊学。はじめは南蘋系統の花鳥画を描いていたが,安永年間(1772〜81),京坂で池大雅,高芙蓉,細合半斎,木村蒹葭堂などと交わり,南画を志す。遺作には南蘋系の花鳥画と南画山水とがあり,柔らかい筆線と濃い色彩に特色がある。『玉洲画趣』『絵事鄙言』を著し,後者で「近衛公(信尹あるいは家煕),惺々翁(松花堂昭乗),宗達,光琳ナトハ本朝ノ南宗トモ云ハンカ」と述べるなど,独自の日本南画論を展開。真景図の重要性を主張する点とあわせて,大雅の影響と考えられる。自らも「若浦図巻」「明光浦十覧冊」(いずれも個人蔵),「那智山・橋柱巌図屏風」(和歌山・念誓寺蔵)など,真景図に秀作を残す。

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題は「江山暮雪図」と仮にしておきました。庵に訪ねてきた友人と談笑し、鬨の経つのも忘れ冬の日が暮れようとしている。泊まるのは奥に見える東屋か??



真贋は別として、「自然の厳しさよりも人間と自然の親和関係である」ということが伝わる作品といえます。

真贋をとやかくいうことも大切ですが、一番大切なのは作品を愉しむ心です。そのことを忘れて真贋ばかり問題にするのは、浅ましい気がしますね


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