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Channel: 夜噺骨董談義
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JAPAN 八寸山水図五段重 壱組

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最近の建物を造る現場にはものづくりの基本が疎かになっているように思えます。要は段取りが悪いのですが、何が一番足りないかというと人に対するリスペクトのように思います。

段取りを良くすることは安全であり、効率的な手配なはずですが、コスト優先なのか人任せで現場を見に来ないで、なにかトラブルが起きると責任を人に押し付けるきらいがあります。実際の現場でものを造っている人に配慮が足りず、上から目線で指示を出していては人の心がついてこない。

さて本日の作品は日本固有のといっていい漆器の作品です。天野方壷の四季山水画の四幅を紹介していますが、その絵心が漆器に反映された逸品です。

写真がフラッシュが反射してうまく撮れないのはご容赦願います。

掛け軸や陶磁器類の骨董の作品の取り扱いも注意を要しますが、もっとも細心の注意を払う必要があるのが漆器です。適度の湿度で取り扱う必要があり、夏や梅雨時、冬の乾燥状態での取り扱いは厳禁です。

もちろん素手で扱うなどはもってのほかです。仕舞うときも摺れたりしないように慎重の扱います。これは簡単なようで熟練を要しますが、一番肝心なのは作品に対する、古きものづくりの人々に対するリスペクトの思いがあるかないかです。

高級義□輪島塗 総□四季山水図 総□□梨地
八寸山水図五段重 壱組
輪島 清義堂謹製 桐共箱入
幅243*奥行243*高さ170&250 



まとめて購入した作品ですが、戦後間もないこ頃の作と思われます。

 

沈金と南画のコラボの佳作であり、伝わるものとして大切に保存したい作品です。



沈金の漆の器はよく見かけますが、このように四季の山水画の出来が良いものは稀有です。絵を鍛錬したものが描いたのでしょう。現代の中国でも無理な作品です。



各々の段の四面に同じ図柄で少しずつ違うデザインで施されています。





内部と裏は梨地という豪華な作りです。



三段と二段に分かれており、蓋は二枚あります。



夏、秋、冬、そしてもうひとつ、五段重ねですから・・。





なんといっても絵の出来が良く、南画の絵師顔負けの浅絳山水図の世界です。これほどの絵はなかなか・・、なにか原画があったのだろうか・・?? 

「浅絳山水図」については本ブログを読まれている方には説明は不要でしょう。



それほど古い作品ではなく、豪華絢爛な蒔絵ではありませんが、これこそ日本の漆の作品(JAPAN)です。京都の蒔絵のような化粧くさいところもなく、高蒔絵ほどいやらしくなく、質素な南画の世界を取り汲んでいます。

これは現代の職人ではなかなか作れまい・・。だいたいが最近の漆器は絵が下手糞ですね。仏壇などはその際たるもの・・。まったくもって絵も下手くそ・・、染物も日本画もスプレーで描いたりした技術も品もなにもない作品ばかり・・。

過去の作品、過去の職人の技量へのリスペクトが足りないようです。


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