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Channel: 夜噺骨董談義
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春光 酒井三良筆 その4

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息子はシャボン玉遊び。引越しする日に慌しいので駅前で息子と時間を潰していたら、年長の子供らがシャボン玉で遊んでおり、はじめてみるシャボン玉を息子が夢中で追いかけているのを思い出しました。



そうそう、人生はシャボン玉を追いかけるようなもの・・。追いかけるものは自分で作って、一生懸命つかもうとしてもつかまえられないもの、そして作り続けないと無くなってしまうもの。それを愉しめる心行きを忘れないこと。



さて本日は酒井三良の作品で、現在でも大変人気のある作家の一人であり、農村の生活や自然を詩情豊かに描いたノスタルジア溢れた作品を描いています。雪国暮らしの経験もある酒井三良が描く雪の風景などはグレーを基調とし、まさに雪国の温度を感じるかのような、独特の描写が特徴的です。

仲睦まじく過ごす家族の姿が描かれ心温まる作品が多く、家族の暖かさを思い出させ胸を熱くさせるような郷土愛に満ちあふれた風景を描き続けました。

生活の苦しい日々をくぐり抜けながら作品を描き続け、文部大臣賞などの受賞することになる酒井三良。愛らしい彼の作品から、愛を大切にしたすばらしい芸術家であったことを知ることができます。

春光 酒井三良筆 その4
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 酒井澄鑑定箱二重箱 
全体サイズ:横380*縦1185 画サイズ:横240*縦270



福島出身と思われている酒井三良ですが、実は福岡県に生まれています。酒井三良は、はじめは坂内青嵐に絵の手ほどきを受けることになりますが、結果的に自らの求める画風との違いを感じてしまい、会津に住み込み独学で絵画を描き続けることになります。



院展で活躍することとなる酒井は、小川芋銭と出会い自らの画境を開拓していくことになります。



決してうまいとはいえない酒井三良の作品ですが、その多くはのどかな田園風景を郷土愛に満ちあふれた美しいタッチで情緒的に描かれ、美しい作品が多数あることで有名となります。淡く白みを基調としいた作品はどこか繊細であり、緻密な表現力で描かれる日本人の琴線に触れるような作風により人気があります。



共箱以外に酒井澄・智子による鑑定の箱が多いようです。ただし小川芋銭ほどではありませんが、贋作が多いので要注意です。



決して豊かと言えない生活を妻と一人娘を引き連れて過ごす酒井三良は横山大観の勧めで太平洋側ののどかな場所で暮らすようになっていきます。戦後、生活も徐々に安定していく酒井三良は自然と親しんでいた経験を元に、日本の風景や四季を愛しその風景を中心に描くようになります。



郷土に対する郷愁、日本の風景への哀愁など福田豊四郎、奥村厚一などの本ブログで取り上げている画家と共通項があるように思います。

参考作品
雪路
思文閣「和の美」墨蹟資料目録 第496号 作品NO33 P78
評価金額:35万





意外に?お値段も高い画家のひとりです。骨董蒐集の大先輩の方が数多く蒐集されており、その方の作品を見せていただいたのが懐かしい思い出です。相続争いの挙句にすべて手放されてようですが、なんと愚かなことか 他の人が作ったシャボン玉を追いかけてはいけません・・・




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