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Channel: 夜噺骨董談義
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気軽に買えなくなった作品 伊万里 色絵花籠文隅切角皿

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以前は古伊万里と称するのも憚れる時代の下がった各種の器でしたが、最近は、幕末か明治期のものも堂々と「200年前の古伊万里です」と云万円を超えるお値段をつけるようになりました。

要は「約200年前?」ということですが、100年を超えると切り上げで約200年になるらしい?

江戸期の最盛期の古伊万里を模した中国で作られた精巧な贋作が横行しているのと、本物が少なくなり市場に出回らなくなったという背景もあるように思われます。要は古伊万里が品薄になったてきたし、幕末や明治期の伊万里の作品には贋作が少ないということかもしれません。
古伊万里を扱う骨董商にとっては「悪貨は良貨を駆逐する」という現象で、迷惑なことですが、もともとは高く値段を吊り上げたことに起因しているので、自業自得といえるのでしょう。

伊万里 色絵花籠文隅切角皿
合箱 
幅317*奥行317*高台径77*高さ52

本作品は古伊万里の幕末頃から明治期に製作されて赤絵の尺皿で、赤、緑、黄、紫、青のガラス質の透明上絵具で上絵付けをされており、中国の影響を受け、さらには天保年間(1644~1648)に柿右衛門が取り入れた様式の影響を受けています。



本作品は大正期ではないかと思われるほど明るい器です。明治期以降、上流階級以外でも陶磁器を家庭の器として使うようになり、また伊万里だけではなく各地で伊万里に似た器を大量に生産し始めました。地方の素封家には本作品のような器がかなりの数で存在しています。



以前は骨董市には所狭しと陳列してあったもので、誰も買おうとしませんでした。ところが最近、前述のような理由で値段が付くようになってきたのかもしれません。



錦手の色絵の皿は多くありますが、意外に少ないのが色絵の角皿で、時代の下がったものにしかないのかもしれません。本作品のような角皿は以前は見向きもされなった作品です。



評価に影響するのが絵付の出来です。一般にこの時期の作品は大量生産されますので絵付が非常に雑です。色絵で雑となると目も当てられません。



ある程度ちゃんとしている絵付の作品以外は評価はないと思っていたほうがいいでしょう。



なんといっても伊万里系統の色絵の命は絵付の出来ですね。



基本的に吉祥図柄が描かれますが、松竹梅の絵柄などありきたりの稚拙な図柄の作品よりは、たとえ大量生産の普段使いの器であってもあくまでも絵付の良いものを選ぶことが得策で飽きがきません。これもあくまで感性によるもので、人によって千差万別です。いいものはやはりただそうざらにあるものではありません。


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