最近取り沙汰されることが多くなり、また本ブログでも投稿される機会が多くなった渡辺省亭ですが、その作品に贋作はないのか?という疑問が前からありました。というのは、出来不出来があることと、近似した種類の印章が多く見られることから、贋作が多いのか、出来不出来が多い画家なのかという疑問がありました。
菖蒲遊鯉之図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦*横
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渡辺省亭の真贋について興味深い記事が資料に載っていたので投稿します。
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渡辺省亭の真贋について
渡辺省亭歿後、息子の水巴は父省亭の鑑定を手がけるようになった。「真筆といふ物は十幅に一幅有るか無しである。ましては是れはと思ふ出来栄の佳い物など滅多に見かけない。」というから、なおさらのことである。
省亭作品の真贋の難しさは、当時の人気画家であったこと、そして展覧会に出品せず、そのほかの資料も少ないためである考えられる。実に上手い画家であり、贋がままならないのは、同時代の西洋のジョン・シンガー・サージェント、小品の上手さでは、エルネスト・メソニエを思わせる。ここでは、真贋の参考となる省亭作品の特徴を取り上げ、以下に示してみたい。
その特徴は、
①落款・印章が同時代のほかの画家に比べ、生涯のかなり長い期間あまり変化がなく基本的に単純で、雅号や印章に複雑な種類がないと推定されること。そのかわり、筆跡の流暢さは破格であり、容易に模倣できない。ただし、これらが真作と確定されているわけではない。しかしこれらの落款・印章類は安定していると思われる。
②画風に特別の品格がともなうこと。独特の芸術的な色気がある。これは、私淑した柴田是真とのみ唯一、混同されるような同種の巧さである。
③作品には必ず、筆技の冴えが全画面に見られること。ヴィルトオーソ(名人芸の持ち主)である。その芸術技巧上の最大の特徴である。
④花鳥画家として第一に知られるが、省亭の画歴における最大のエポックが山田美妙の小説『胡蝶』の挿絵、花鳥画家として第一に知られるが、省亭の画歴における最大のエポックが山田美妙の小説『胡蝶』の挿絵で裸体画を描き、世間に論争を引き起こしたことであった。そしてその種の挿絵を多く残していることでもわかるように、実は美人画、それもあくまでも清楚のなかに官能美を秘めた、他の追随を許さないような出来ばえを示している。
この美人画では今日残る作品から想定して、多作であったと推定される。美人画で示される画風は、花鳥画にもどこか秘められたものである。省亭作品にはそうした上記②でも触れた芸術的色気がなければならない。
⑤画面に空間・間を多くとること。これは、江戸っ子らしさでもあるが、描かずして暗示だけで描くのを最大の腕の見せ所、芸術の勘所とする欧米の世紀末肖像画家と一脈通ずるものである。
⑥独特の色彩を使用していること。渡辺水巴の証言にもあるように、色彩には工夫が見られる。これもまた是真との共通性がある。
⑦俗を嫌うこと。どんな通俗的テーマ、モチーフでも、けっしてこれ見よがしではなく、粋な表現にこだわっている。
の以上七点である。
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渡辺省亭歿後、息子の水巴によって鑑定された作品は下記の作品が本ブログでも投稿されています。
月明秋草図 渡辺省亭筆 その3
絹本水墨淡彩 軸先象牙 渡辺水巴鑑定箱
全体サイズ:縦2070*横533 画サイズ:縦1125*横413
この作品は渡辺省亭の作品の中でも最上位に位置する作品だと思います。渡辺水巴は出来のよい、最上位の作品にのみ鑑定したものと推察されます。
ところで本作品の真贋は?
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一見するといかにも花鳥画にとりあげられる構図というイメージです。
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琳派の手法の滲んだ表現方法です。
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「この鯉は実は一匹でしょう。」というのが家内の指摘です。
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波というか水辺の表現方法・・・。「これは素敵、好み。」、「この作品はいい」というのが家内の意見。
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印章は相変わらず微妙に違う「省亭」の印章で、統一された資料が当方にはなく、現在ある手持ちの資料ではこの印章と一致するものは確認できていません。
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小生は記事の内容である「真筆といふ物は十幅に一幅有るか無しである。ましては是れはと思ふ出来栄の佳い物など滅多に見かけない。」というのには、多少異論があって、「是れはと思ふ出来栄の佳い物など滅多に見かけない。」というのが渡辺省亭の真実ではないのかと思うのです。多作ではあるが、出来のよい作品は少ないということです。印章は意外に種類が多いというのが事実ではないかということです。
毎度述べるように、ある程度の見識があれば、ビジネスではない蒐集する当方の側にとっては、出来の不出来で鑑賞するのが正解であって、結論として本作品は今のところ真作とあろうという見解が成り立ちます。
菖蒲遊鯉之図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦*横

渡辺省亭の真贋について興味深い記事が資料に載っていたので投稿します。
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渡辺省亭の真贋について
渡辺省亭歿後、息子の水巴は父省亭の鑑定を手がけるようになった。「真筆といふ物は十幅に一幅有るか無しである。ましては是れはと思ふ出来栄の佳い物など滅多に見かけない。」というから、なおさらのことである。
省亭作品の真贋の難しさは、当時の人気画家であったこと、そして展覧会に出品せず、そのほかの資料も少ないためである考えられる。実に上手い画家であり、贋がままならないのは、同時代の西洋のジョン・シンガー・サージェント、小品の上手さでは、エルネスト・メソニエを思わせる。ここでは、真贋の参考となる省亭作品の特徴を取り上げ、以下に示してみたい。
その特徴は、
①落款・印章が同時代のほかの画家に比べ、生涯のかなり長い期間あまり変化がなく基本的に単純で、雅号や印章に複雑な種類がないと推定されること。そのかわり、筆跡の流暢さは破格であり、容易に模倣できない。ただし、これらが真作と確定されているわけではない。しかしこれらの落款・印章類は安定していると思われる。
②画風に特別の品格がともなうこと。独特の芸術的な色気がある。これは、私淑した柴田是真とのみ唯一、混同されるような同種の巧さである。
③作品には必ず、筆技の冴えが全画面に見られること。ヴィルトオーソ(名人芸の持ち主)である。その芸術技巧上の最大の特徴である。
④花鳥画家として第一に知られるが、省亭の画歴における最大のエポックが山田美妙の小説『胡蝶』の挿絵、花鳥画家として第一に知られるが、省亭の画歴における最大のエポックが山田美妙の小説『胡蝶』の挿絵で裸体画を描き、世間に論争を引き起こしたことであった。そしてその種の挿絵を多く残していることでもわかるように、実は美人画、それもあくまでも清楚のなかに官能美を秘めた、他の追随を許さないような出来ばえを示している。
この美人画では今日残る作品から想定して、多作であったと推定される。美人画で示される画風は、花鳥画にもどこか秘められたものである。省亭作品にはそうした上記②でも触れた芸術的色気がなければならない。
⑤画面に空間・間を多くとること。これは、江戸っ子らしさでもあるが、描かずして暗示だけで描くのを最大の腕の見せ所、芸術の勘所とする欧米の世紀末肖像画家と一脈通ずるものである。
⑥独特の色彩を使用していること。渡辺水巴の証言にもあるように、色彩には工夫が見られる。これもまた是真との共通性がある。
⑦俗を嫌うこと。どんな通俗的テーマ、モチーフでも、けっしてこれ見よがしではなく、粋な表現にこだわっている。
の以上七点である。
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渡辺省亭歿後、息子の水巴によって鑑定された作品は下記の作品が本ブログでも投稿されています。
月明秋草図 渡辺省亭筆 その3
絹本水墨淡彩 軸先象牙 渡辺水巴鑑定箱
全体サイズ:縦2070*横533 画サイズ:縦1125*横413
この作品は渡辺省亭の作品の中でも最上位に位置する作品だと思います。渡辺水巴は出来のよい、最上位の作品にのみ鑑定したものと推察されます。
ところで本作品の真贋は?

一見するといかにも花鳥画にとりあげられる構図というイメージです。

琳派の手法の滲んだ表現方法です。

「この鯉は実は一匹でしょう。」というのが家内の指摘です。

波というか水辺の表現方法・・・。「これは素敵、好み。」、「この作品はいい」というのが家内の意見。

印章は相変わらず微妙に違う「省亭」の印章で、統一された資料が当方にはなく、現在ある手持ちの資料ではこの印章と一致するものは確認できていません。

小生は記事の内容である「真筆といふ物は十幅に一幅有るか無しである。ましては是れはと思ふ出来栄の佳い物など滅多に見かけない。」というのには、多少異論があって、「是れはと思ふ出来栄の佳い物など滅多に見かけない。」というのが渡辺省亭の真実ではないのかと思うのです。多作ではあるが、出来のよい作品は少ないということです。印章は意外に種類が多いというのが事実ではないかということです。
毎度述べるように、ある程度の見識があれば、ビジネスではない蒐集する当方の側にとっては、出来の不出来で鑑賞するのが正解であって、結論として本作品は今のところ真作とあろうという見解が成り立ちます。