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Channel: 夜噺骨董談義
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山茶碗

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本ブログの閲覧者数がもうすぐ150万人を突破しそうです。骨董に興味のある方が多いのは良いことだと思っていますので、時間の作れる限りは投稿を続けようかと思っています。

骨董蒐集を初めてまもない頃、骨董市で見かけてちょっと気に入って買った山茶碗。その作品は本日の作品とまた違った味わいのあるもののように記憶していますが、どこに収納したやら?? どうも郷里の自宅にありそうですが・・。

本日は最近入手した山茶碗。一万円もしないものですが、意外やこれがかなりの掘り出し物のように思われます。

骨董は数千円からはじめることができます。なにも高価なものを集めるのが骨董蒐集ではありません。高価なものを追いかけるとお金がかかるわりにガラクタばかりになることのほうが多いですので、名もない画家や目もくれない陶磁器の中から良いものを選んだ方がいいものが集まりまし、骨董収集の醍醐味はそこにあるように思います。

山茶碗
合箱
口径135〜165*底径*高30



山茶碗は、山に造られた窯跡から沢山出てきたので山茶碗と名づけられたようです。

薄手の茶碗ですが土は荒々しく石英の粒が吹き出しています。本作品にもそのような石はぜが見られ、ひとつの景色となっています。なお一説には、窯で焼いた壷や瓶等に被せておく為に作られた蓋であったという説があります。



山茶碗と呼ばれているものは、平安時代の末ごろから鎌倉時代全般ごろまでの間にかけて、瀬戸をはじめその近郊の常滑や猿投の製陶地で焼かれた簡単な形状の皿や浅い碗を呼びます。

極めてシンプルで無駄なく形作られ、粗暴とも見えるこの焼き物の中には力強い存在感がある作品が稀に存在します。

反面雅味深い静かな美しさが備わるものが最上とされます。本作品は織部の沓茶碗に似た形の面白さが見られ、自然が生み出した豪放奔放な趣があります。




昔はそれほど人気がなかった様ですが、近頃では良品を見つけるのはなかなか難しくなったようです。もともと完品が少なく、それは山茶碗が本来は無釉の状態で焼かれたもので、20個から30個の器を積み重ねて焼いたためかもしれません。



ただ不思議な事はそれを焼いた窯跡からは,破片だけでなく完器のままで多く出土します。重ねたそのままで焼き付いてしまって発掘されるものもあります。本作品のように一部補修されているのは珍しくないようです。

灰のよる釉薬がほんの少し残っています。




須恵器窯の高温状態で焼かれた為に、器のまわりには燃料に使った松木の灰が窯の中に舞って降りかかっています。その木灰は高温の為に溶け、降りかかった器の土に含まれている鉄分と化学反応を生じ、偶然にガラス質の釉薬となります。本作品にも若干ですがそれがみられます。

その“自然の釉”は、灰緑色や時にブルーの色となり器に美しい景色をもたらします。器肌の色は灰白色のものが多く、いくぶん褐色を帯びた灰黄色をしているものもあり須恵器系窯で焼かれた事は間違いありません。中には瀬戸の様に穴窯でやかれたと見えるものもある様です。




胎土には石英や長石などの小砂粒が混じっていて、古い時代のものほど雅な味わいが深く、端正で均衡のとれた形をしています。作りも薄くかなり堅く焼き締まっていて、古い時代のもの程自然釉も多くかかっていますが、時代が下がってくるにつれて作も粗雑になり、素地も粗く自然釉もあまりかからなくなる傾向にあります。



さて本作品はいつごろ作られたのでしょうか? 窯の職人が自分らの飯の器として作ったのかもしれません。粗雑な高台には奇異を衒うことなく、実に無作為で素晴らしい力強さがあります。

見どころがたくさんあるいい器だと思います。古い織部の沓茶話のような楽しさがりますが、大きな違いは意識的に作られた織部と無意識の自然の造形の山茶碗という点です。この違いは大きい・・・。



さて何に使おうか・・、接着剤を除去し補修跡はどう料理するか・・、愉しみが尽きない骨董の世界です。

時には抹茶の席でお茶碗として使われるものもあるそうです。このような器を使いきれるのは、かなり粋な御仁?でないと無理なようですね。

使いきれるかというと先日、アイホンを購入しました。べつに会社支給の普通の携帯で困るわけではなく、iPadも支給されているので必要がないといえばそうなのですが、リタイアも近いので個人のものが欲しくなったというのがホントの理由です。つでに? 家内も機種変更

操作がいまひとつ解りづらい? 携帯、アイホン、iPad・・・


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